STMC(Standardized Test Method Committee)は、リサイクルトナー先進国であるアメリカにおいて、 リサイクルトナー普及を推進するI-ITC(International Imaging Technology Counsil)と R.I.T.(ロチェスター工科大学)を中心に制定された、世界標準の検査基準です。 STMCの大きな特徴は、JIS規格やISO規格のような包括的な規格とは異なり、リサイクルトナーに特化した規格であるという点です。 STMCでは、カートリッジの分解や清掃、トナーの充填、印字テストなど、リサイクルトナーにとって重要な多数の項目について基準が定められています。 リサイクルトナー製造工場がSTMCの認定を受けるためには、I-ITCおよびR.I.T.により認定されたトレーナーから十分な指導を受け、規格に沿った品質を確保するための各種試験機器を備えなければなりません。 STMC認定工場には固有のIDが発行され、そのIDが印刷された認定マークを製品のパッケージに貼り付けることができます。 STMCはモノクロ一体型カートリッジ用の検査基準であり、トナーとドラムが分離したタイプのカートリッジやカラーカートリッジは対象に含みません。 しかし、STMC認定は製品単位ではなく工場単位で行われるため、認定工場ではどのカートリッジの製造においても高水準の品質管理が行われていると考えられます。
E&Q(ECO & QUALITY)は一般社団法人日本カートリッジリサイクル工業会(AJCR)が制定したリサイクルトナーの環境と品質に関する管理基準です。 E&Qでは、環境管理基準27項目と品質管理基準10項目が設けられています。 第三者審査機関の審査を通じて認定されたAJCR会員企業のみが、リサイクルトナーカートリッジの梱包箱にE&Qマークラベルを貼付することができます。 E&Qの認証を取得した企業は、認証後も年に一度の再審査が義務付けられており、製造工場は品質の維持に厳しく取り組むことが求められます。 E&Qでは、『純正品実印刷枚数に対し90%以上でなければならない』、『再資源化率が回収した使用済み製品全体質量の95%以上でなければならない』といった具体的な基準が設けられており、認証製品の品質を高いレベルに保っています。 このように、E&Qは厳格な基準を設けることで、リサイクルトナーカートリッジの環境貢献と品質を確保し、消費者に信頼できる製品を提供することを目的としています。
国際標準化機構(ISO、International Organization for Standardization)が1987年に定めた国際規格であるISO9001は、一般的に品質マネジメントシステムと呼ばれています。 そのため、この規格は『工業製品の品質そのもの』について定めているものと誤解されがちです。しかし、ISO9001の特徴は、『顧客が求める製品やサービスを継続的に提供・改善するための仕組み』について規定していることです。 ISO9001が対象とする取り組みの範囲は非常に広範です。具体的には、顧客の要求を把握することから始まり、製品の製造、製品の出荷後の分析や改善、さらには一連の活動を遂行するための経営最適化までを含んでいます。 ISO9001の認証は、これらの品質改善のための取り組みを、国際規格として定められたルールに基づいて継続的に実行していることを示すものです。
国際標準化機構(ISO、International Organization for Standardization)により1996年に定められた環境マネジメントの国際規格です。 この規格は、企業や組織が周囲の環境に与えている影響を明確にし、問題を解決するための仕組みについて定めています。 ISO14001の大きな特徴は、環境保護のために目的と計画を立て、その実施と運用を行い、結果を点検し、改善のための処置を行った後、再び目的と計画を立てるという継続的な改善サイクルを取り入れていることです。
グリーン購入法は、2000年に制定された法律であり、主に公共機関を対象として、環境負荷の低減につながる製品やサービスの調達を推進することを目的としています。 この法律に基づいて、環境負荷の低減に寄与する製品が存在する品目を「特定調達品目」と呼びます。 特定調達品目ごとに定められた基準を満たした製品は、「グリーン購入法適合」と位置づけられ、優先的に調達の対象となります。 トナーカートリッジは特定調達品目の一つであり、カートリッジの形状や回収システムの有無、製品の安全性、再資源化率、適切な廃棄物処理などの基準を満たした製品がグリーン購入法適合となります。 さらに、製品の梱包や包装についても、簡易かつ再生利用が容易であることを求めるなど、幅広く環境負荷の低減を促す内容となっています。 これらの配慮事項は、グリーン購入法の重要な要素の一つです。このように、グリーン購入法は、公共機関による環境に配慮した製品やサービスの調達を促進し、環境負荷の低減に大きく貢献しています。
エコマークは、1989年に財団法人日本環境協会によって制定された環境ラベルです。 この環境ラベルは、製品やサービスのライフサイクル全体を通して、環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品に付けられています。 エコマークの目的は、商品の生産から廃棄に至るまでのプロセス全体で環境に配慮することを重視し、消費者が日常生活と環境との関係性について考え、環境に優しい商品を選択できるようにすることです。 また、関連企業が環境改善に努め、持続可能な社会の形成を目指すことも目的としています。 このように、エコマークは消費者と企業の両方に対して、環境意識を高め、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを促進する役割を担っています。
RoHS:Restriction of Hazardous Substances Directive(危険物質に関する制限令)は、2003年に欧州連合(EU)で公布された指令であり、電子・電気機器における特定有害物質の使用を制限することを目的としています。 この指令は、電気・電子機器のリサイクルを容易にし、埋め立てや焼却などの最終処分時においても、人や環境への負荷を最小限に抑えることを目指しています。 当初、RoHSでは鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニール)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)の6種類の物質が規制対象でしたが、2015年6月にフタル酸エステルなど4種類の物質が追加され、現在では10種類の物質が制限されています。 それぞれの物質には、最大許容濃度や使用制限が定められています。RoHSに適合したインクやトナーカートリッジは、これらの特定有害物質の含有量が規定の範囲内であることを示しています。 これにより、製品の安全性が高まり、環境保護にも貢献することができます。